日本植民地史(3)台湾。南洋,総督府が治めた半世紀,別冊1億人の昭和史,主曆1978年(民國67年|昭和53年)每日新聞社
日本列島から遠く離れた台湾、南洋群島は、日本が戦争の勝利によって得た領土であった。海国日本はこの二つを拠点として、中国へ東南アジアへあるいは外南洋へ、いわゆる"北守南進〟の政策を押し進めた。そこには一部の野心家が登場し、強引な政策もあった。しかし、故国を離れた新しい天地で、家族とともに黙々と現地を開発した庶民たちの存在も忘れてはならないと思う。この植民地史はたただ当時の日帝侵略の足跡を暴露するだけでなく、現地を愛しつづけた庶民の歴史を綴ることもその目的の一つである。
樺太はもともと日本の土地であった。従って台湾、南洋群島とは同列に扱うことはできないが、共通していえることは、さい果ての土地に移住し、開拓に一生を捧げた先覚者たちの足跡が残されていることである。それはただの郷愁としてとどめておくべきかどうか。昭和四十八年(一九七三)九月二十日、二十五日、衆参両院で各党全会一致で「北方領土返還に関する決議案」が可決採択されている。
なお編集に当たって地名、原住民、住民名等については戦前の呼称に従った。
台湾は 1895年に清国から割譲され太平洋戦争の敗戦で中国に接収されるまでの50年間 日本領として統治された それまで未開の地 とされていた台湾が 豊富な資源を秘めた宝 庫として また日本の国威の伸展につれて その軍略的重要性が認識され 日本政府がそ の統治 開発に傾注した力ははかり知れな いものがある 開拓に大きな夢を抱いて混合 した内地人と 台湾人との交流の50年の歩み の跡を振り返って見るとき 種々の蹉跌をへ ながらも 先人の建設への努力が着実に実り つつあったことを知るのである
日本のなかの台湾 - 化外の地から脱却
日本の"高砂族"統治
山地に咲いた花
別冊一億人の昭和史
日本植民地史3 台湾・南洋 定価一五〇〇円
一九七八年一〇月一日発行
編集長 松井 孝也
発行所 毎日新聞社
(一〇〇)東京都千代田区一ツ橋一-1-1
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(八〇二) 北九州市小倉区紺屋町一三一一
(四五〇) 名古屋市中村区名駅四七―三五
印刷所 凸版印刷株式会社
◎毎日新聞社 一九七八年
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